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空き家撤去費、全額回収1割 行政代執行の事例調査

 総務省は二十二日、地方自治体の空き家対策に関する調査結果をまとめた。倒壊の恐れがあるなど危険な空き家を行政代執行で撤去した際の費用を、所有者らから全額回収できた事例は一割にとどまった。自治体が全額負担した事例が三割弱あり、費用回収で難しい対応を迫られている実態が浮き彫りになった。

 調査対象は、二〇一五年に全面施行された空き家対策特別措置法に基づく行政代執行や略式代執行の実績があるうちの三十七市区町村四十八事例(一七年九月末現在)。跡地を売却するなどして撤去費を全額回収できたのは、前橋市や東京都品川区などの五事例(10・4%)だけだった。

 費用回収が進まない背景には、所有者に支払い能力がないことなどが挙げられる。所有者が不明で跡地の売却先も見つからないことなどを理由に、自治体が全額負担したケースは、新潟県十日町市兵庫県姫路市などの十三事例(27・1%)。

 その際の一件の撤去費は、十日町市で千四十万円、青森県五所川原市で五百八十三万円、姫路市で四百十六万円だった。岐阜県恵那市も二百二十七万円、愛知県瀬戸市で七十六万円、長野県高森町で二十七万円かかった。

 特措法は、危険な空き家の所有者に対し、市区町村が改善勧告や命令などを出し、従わなければ代執行で撤去できると規定。所有者不明で相続人もいない場合は、略式代執行で撤去できる。

 同法により自治体は放置されている危険な空き家の取り壊しなどを進めやすくなったが、ノウハウ不足などで代執行に踏み切った事例は少ないのが実情。調査結果を受け総務省国土交通省などに対し、自治体間の対応策の情報共有を後押しするよう求めた。
(2019/1/22 中日新聞